多くの企業が導入を進めているCRM(顧客関係管理)ツール。中でも代表的なのがHubSpotとSalesforceです。
本記事では、SalesforceとHubSpotの違いを業務プロセス・導入規模・コスト・UI・カスタマイズ性など多角的に整理し、選定の判断材料となるポイントをお伝えします。
1. Salesforceとは?
Salesforceは1999年にアメリカで誕生した、クラウド型のCRMプラットフォームです。
「No Software」というスローガンのもと、Webブラウザ上で動作するSaaSモデルを普及させた先駆けです。
特徴
- 世界中のエンタープライズ企業で利用されている実績
- 営業・マーケ・カスタマーサポートなど、用途別のクラウドを提供
- AppExchangeによる拡張、Apexによる高いカスタマイズ性
2. HubSpotとは?
HubSpotは2006年に設立されたCRMツールで、インバウンドマーケティングを起点とした成長を遂げてきました。
中小企業向けの手軽なツールとしてスタートし、現在ではエンタープライズにも対応しています。
特徴
- マーケティング、営業、カスタマーサポートの機能を1つのUIで提供
- ノーコードでの設定や操作が可能で、現場主導でも導入しやすい
- 無料プランからスモールスタートが可能
3. UIと操作性の違い
Salesforce
- 機能ごとにUIが分かれており、柔軟にカスタマイズ可能
- 初学者にはややとっつきにくい設計
- 開発者向けの自由度が高く、複雑な業務にも対応可能
HubSpot
- モダンで視覚的に整理されたUI
- ノーコードで完結するワークフロー設計
- 一貫したUIで、習得コストが低い
4. ターゲット企業の違い
Salesforce | HubSpot | |
---|---|---|
対象 | 中堅〜大企業 | 中小企業・スタートアップ |
特徴 | 複雑な業務に対応、IT部門がある企業向け | 少人数でも導入しやすい、現場主導で導入可能 |
5. 価格体系の違い
Salesforce
- 基本機能はシンプルだが、カスタマイズやサポート追加でコストが増加
- 導入時にパートナー企業の支援が必要な場合が多い
HubSpot
- 無料プランからスタート可能なフリーミアムモデル
- 成長に応じて段階的に機能拡張可能
- 有料プランはユーザー数や機能ごとに価格が変動
6. 設計思想の違い
- Salesforce:機能をモジュールごとに組み合わせる「パズル型」の設計
- HubSpot:マーケ・セールス・カスタマーサポートを統合した「ワンパッケージ型」の設計
この違いは、連携性や運用設計に大きな影響を与えます。
7. カスタマイズ性と拡張性
Salesforce
- 独自開発言語(Apex)でフルカスタマイズが可能
- ワークフローやデータ構造も自由に設計できる
HubSpot
- 標準機能が豊富で、ノーコードでも多くの業務に対応
- 一部JavaScriptやPythonによる拡張も可能
8. 連携やエコシステム
Salesforce
- AppExchangeを通じて、業種特化型アプリとの連携が充実
- 高度な連携には専門知識が必要
HubSpot
- Google WorkspaceやSlackなど、モダンなSaaSとスムーズに連携
- APIも充実しており、内製での連携開発も可能
まとめ:どちらが優れているか、ではなく「どちらが合っているか」
CRMツールの選定で大切なのは、自社の現在の規模・業務フロー・将来の成長戦略にどれだけフィットするかという視点です。
- 大規模かつ複雑な業務設計が必要な場合はSalesforce
- 小〜中規模でスピーディに導入・改善を回したい場合はHubSpot
それぞれの特性を理解し、自社にとって最適な選択をしていきましょう。