未収収益(Accrued Revenue)とは?定義・仕訳・判定の実務ポイント
未収収益とは、サービスや商品の提供を完了しているのに、まだ請求・入金が行われていない収益のことです。決算日までに価値提供が完了している場合、収益は認識されるため、売掛金とは別に未収収益として計上されるケースがあります。
請求と収益認識は一致しません。ズレを管理するのが未収収益です。
要点サマリー
- 未収収益は「提供完了済み・未請求/未回収」の収益。
- 収益認識は契約の履行義務と提供タイミングで判断する。
- 売掛金・前受収益との違いを明確にし、期末のカットオフを統制する。
- 仕訳と証憑の整合性が監査・資金管理の信頼性を左右する。
1. 未収収益の定義
未収収益は、履行義務が充足されたにもかかわらず、請求や入金が後日に行われるケースで発生します。収益の認識は、契約に基づく履行義務の充足時点で判断されるため、請求タイミングと異なることがあります。
2. 収益認識の原則(5ステップ)
ASC 606/IFRS 15では、収益を認識するための基本的な判断手順が示されています。未収収益の判定でも、この枠組みが有用です。
| ステップ | 内容 | 未収収益との関係 |
|---|---|---|
| 1 | 顧客との契約を識別 | 契約条件が収益認識の前提になる |
| 2 | 履行義務を識別 | 提供完了の判断基準を定義する |
| 3 | 取引価格を算定 | 未請求分の金額根拠が必要 |
| 4 | 取引価格を配分 | 複数義務がある場合に配分が必要 |
| 5 | 履行義務の充足時に認識 | ここで未収収益が発生し得る |
収益認識の判断軸を定めないと、未収収益が「後追い修正」になります。
3. 典型的な発生パターン
- 月末にサービス提供が完了し、請求は翌月に行う
- 従量課金で利用量が確定したが、請求処理が遅延している
- マイルストーン完了後に請求する契約で、完了時点が決算日を跨ぐ
4. 仕訳と財務諸表への影響
未収収益は通常、資産(未収収益/未収入金)として計上され、収益が計上されます。
| 取引 | 借方 | 貸方 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 提供完了・未請求 | 未収収益 | 売上 | 提供完了の証跡が必要 |
| 請求後の入金 | 現金/預金 | 未収収益 | 入金時に振替 |
5. 売掛金・前受収益との違い
用語の違いを曖昧にすると、レポートの解釈がぶれます。
| 科目 | 発生条件 | 代表例 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| 未収収益 | 提供完了・未請求 | 月末締めの従量課金 | カットオフ管理が重要 |
| 売掛金 | 請求済み・未回収 | 請求書発行後の回収待ち | 回収遅延の管理が必要 |
| 前受収益 | 入金済み・未提供 | 前払いサブスク | 提供完了時に収益へ振替 |
6. 実務上の論点と内部統制
- 期末カットオフの基準(提供完了の証跡)
- 従量課金やマイルストーンの確定タイミング
- 請求遅延の原因分析(業務プロセス・契約条件)
- 未収収益の回収可能性と引当の検討
7. 証跡とエビデンスの例
未収収益は見積りが入るため、根拠となる証跡の整理が重要です。
| 証跡 | 内容 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| 契約書・SOW | 履行義務と検収条件 | 提供完了の定義が曖昧になりやすい |
| 提供ログ/作業報告 | 提供実績の証明 | 客観性の担保が必要 |
| 検収書・受領書 | 顧客側の承認 | タイミングが期末を跨ぎやすい |
| 利用レポート | 従量課金の根拠 | 計測ロジックの説明責任が必要 |
見積りの根拠が弱いと、期末修正が常態化します。
8. 実務チェックリスト
- 収益認識の基準が契約条項と一致しているか
- 提供完了の判定基準が明文化されているか
- 未収収益から売掛金への振替ルールがあるか
- 期末カットオフのレビュー手順があるか
- 例外取引(返金/解約/追加提供)の扱いが定義されているか
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